1. TEWL検査とは?

TEWL検査は、皮膚表面から蒸散する水分量(TEWL, Trans-Epidermal Water Loss = 経皮水分蒸散量)を測定し、皮膚バリアがどの程度損傷しているかを数値で確認する検査です。

例え:皮膚バリアは家の塀のようなものです。塀が丈夫であれば、家の中の水分(=皮膚内の水分)が外に漏れることはありませんが、塀にひびが入ると水分が外に逃げてしまいます。TEWL検査は、「塀からどのくらい水分が漏れているか」を測定するものです。

皮膚表面から蒸散する水分量(TEWL、経皮水分蒸散量)を測定し、皮膚バリア損傷度を数値で確認する皮膚バリア機能検査インフォグラフィック

2. TEWL検査はなぜ行うのですか?

アトピー性皮膚炎、酒さ、脂漏性皮膚炎はすべて、皮膚バリアの損傷と密接に関連しています。1 しかし、皮膚バリアがどの程度損傷しているかは、見た目だけでは分かりません。

TEWL検査により:

  1. バリア損傷度を客観的に把握できます。
  2. 治療前後を比較し、皮膚バリアが実際に回復しているかを確認できます。2
  3. 見た目の症状が似ていても、バリアの状態によって治療方針が異なる場合があります。

ヒント:「症状は改善しているように見えるがバリアは弱い場合」と「症状は残っているがバリアは回復している場合」では、治療計画が異なります。数値で確認することで、より正確な判断が可能です。

3. 検査の流れ

  1. 検査部位の準備:検査する部位(通常、顔、腕の内側など)の皮膚を軽く整えます。
  2. 測定:小型の測定機器を皮膚表面に軽く当てると、数秒以内に水分蒸散量が測定されます。
  3. 結果確認:測定後すぐに数値が表示され、医師がその場で説明いたします。

検査は完全に非侵襲的で、痛みや刺激は一切ありません。 所要時間は1~2分程度です。

経皮水分損失量(TEWL)測定機器を患者の手の甲に当て、皮膚バリア機能を客観的に測定する診断シーン

3.1 検査前の注意事項

  • 検査部位に保湿剤やクリームを塗っていない状態が理想的です。
  • 保湿剤を塗って来院された場合は、洗顔後に測定する方が正確です。

4. 結果の読み方

TEWL値はg/m²/h(1時間あたりの単位面積から蒸散する水分のグラム数)で表示されます。

TEWLの正常範囲は、測定機器、測定部位(顔・腕・手の甲など)、室温・湿度、個人の皮膚特性によって大きく異なるため、3 文献でもあらゆる状況に適用可能な基準値は提示されていません。ただし、私の経験上、以下の数値が各皮膚状態に対応します。

TEWL (g/m²/h) バリア状態 分類
0~5 正常 —
6~10 軽度損傷 軽度の酒さ
11~15 中等度損傷 重度の酒さ・軽度の脂漏性皮膚炎/アトピー
16以上 重度損傷 重度の脂漏性皮膚炎・重度のアトピー

ヒント:数値が高いほど皮膚バリアが弱いことを意味します。同じ患者様でも部位によって数値が異なります。

5. 当院での活用方法

当院では、TEWL検査を治療の開始時と経過確認の両方に活用しています。

  1. 初回受診時:バリア損傷度を客観的に確認し、これを基に治療方針を決定します。
  2. 経過観察:受診のたびに再測定し、バリアの回復傾向を追跡します。 数値が減少していれば、治療が正しい方向に向かっている客観的な根拠となります。
  3. 治療終了の判断:当院では、症状が改善しTEWL数値も正常範囲に近づけば、治療を終了します。

例え:高血圧の患者様が定期的に血圧を測るように、皮膚バリア疾患の患者様はTEWLを定期的に測定してバリアの「健康数値」を確認するのです。

よくある質問

検査費用はいくらですか?

無料です。当院ではTEWL検査を診療の基本プロセスに含んでおり、別途検査費用は発生しません。

検査は痛いですか?

全く痛くありません。小さな機器を皮膚表面に軽く当てるだけで、針や薬剤は使用しません。1~2分で終わります。

数値が高いと必ずしも悪いのですか?

数値が高いということは、皮膚バリアが弱っているという客観的なサインです。ただし、数値が高いからといって必ずしも症状が重いわけではありません。TEWLはバリアの「物理的状態」を示し、症状は免疫反応など複数の要因が複合的に作用した結果だからです。

どのくらいの頻度で検査しますか?

通常、初回受診時に1回、その後2~4週間間隔で経過を確認します。治療が安定すれば間隔を広げたり、必要時のみ測定します。

保湿剤を塗っていくと結果は変わりますか?

はい、保湿剤を塗るとTEWL数値が一時的に低くなる可能性があります。正確なバリア状態を把握するためには、検査部位に保湿剤を塗っていない状態でご来院いただくことをお勧めします。

参考文献

  1. Alexander H, Brown S, Danby S, Flohr C. Research Techniques Made Simple: Transepidermal Water Loss Measurement as a Research Tool. J Invest Dermatol. 2018;138(11):2295-2300.e1.
  2. Medgyesi B, Dajnoki Z, Béke G, et al. Rosacea Is Characterized by a Profoundly Diminished Skin Barrier. J Invest Dermatol. 2020;140(10):1938-1950.e5.
  3. Sander N, Stölzl D, Fonfara M, et al. Blockade of interleukin-13 signalling improves skin barrier function and biology in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis. Br J Dermatol. 2024;191(3):344-350.